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社会人3年目、小さめ会社のひよっこ法務女子。日々のもやもやを投げつけます。(ご指導ご鞭撻募集中です)

法務部門で下っ端が上司に希望すること

この記事は、法務系 Advent Calendar 2017 の参加エントリです。

はじめに

はじめまして。@h_kitaokaさんからバトンを受け取りました。

社会人3年目、法務も3年目のまごうことなき若手(?)です。これまではとても書く側には回れないと読者に徹していたのですが、お祭りに参加してみたい一心から、勢いで登録してしまいました。期日までには書くことも思いつくだろうと楽観していたのに、頭を捻っても叩いても何も思いつかず、日頃いかに自分が140字以上のことを考えていないかを思い知らされた次第です。この点を反省できただけでも、自分のためには参加した意義があったと思います。

ということで、今後はもっと問題意識とやる気をもって業務に取り組んで参ります。この度はありがとうございました。~完~

 

としたいところなのですがさすがにそういうわけにもいかないので、普段から他力本願な自分の頭を占めがちなこと、すなわち「上司への不満」を正直に書かせていただきます。これまでの短い経験から、3~4人を比較・総合しての感想となります。先進的なところの一切ない昭和型小企業勤めで、どれだけ普遍性があるか全く分からない上に、legalAC2017流行語風にいえば「ポエム」ですが、上司の立場から、部下の立場から、忌憚なき厳しいご意見を頂戴できれば幸いです。

 他部門へのアクセスを支援してほしい

 法務部門は他部門との信頼関係が重要です。積極的に他部門とコミュニケーションをとりましょう。

あるべき法務像としてもはや証明を要しないお題目と思われますが、お題目を唱えるならぜひ部下の自主的な営業に任せずにコミュニケーションを支援してほしいと思っています。具体的にお願いしたい事項は2つ。

  • (特に将来の契約審査や法律相談につながりそうな)情報を共有してほしい
  • 打ち合わせなどの場に連れて行って顔を売らせてほしい

1つめ、情報共有のお願いについて。

管理職というのは、特に法務部門の管理職というのは、(私の想像の中では)社内の重要情報をたくさん持っているものだと思います。中には決して部下にも漏らせない情報もあるのだろうと思います。しかし、そういった重要情報の取り扱いを常時気にしておられるせいか、必要以上にneed-to-know basisが徹底されているのではないか、と不満に思うことがあります。 

例えば、新規に何かのシステムを導入する、という企画がIT部署から持ち上がり、経営会議だの常務会だので承認され、部長会議みたいなところで周知されたとします。その時点で全社の部長格とIT部署内には情報共有が完了し、その後の早い段階で、当該企画が業務に関係のある部署の担当者も情報を入手するのが常であるように思います。しかし、事業からの距離が遠い法務部門の担当者は、厳密にneed-to-knowに従うほど、情報共有されるのが遅くなりがちです。最悪の場合、システム導入の契約書案をIT部署の担当者が持ってきて初めて企画の存在を知る、なんてことになります。最低限の仕事をこなすにはそれでも問題ないのかもしれませんが、人は情報が来ない人のところには話をしに行かないものです(と3年の社会人経験から学びましたが、鶏と卵のような気もします)し、法務部員が自ら企画についてIT部署に声をかけに行くなんてことはできないまま、受動的に契約書を読むことになってしまいます。それでは上記お題目には反するのではないでしょうか?

業務内外の関係を駆使して素早く情報入手することも法務として評価の対象なのであれば文句は言いませんが、そうでないのなら、是非ともせめて部長会議のあった段階で、部下に「こういう企画が始まるらしいから相談があるかもね」くらいの声はかけていただけないかと思います。

最近は上司からの情報共有を諦めて、伝手をたどって他部署内での共有情報を横流ししてもらっているのですが、その情報があったおかげで相談を受ける際にスムーズだったと感じることが割と頻繁にあります。恐らく上司の皆さんが思っている以上に、関係なさそうだけれども役に立つという情報は多いと思います。

 

2つめ。打合せ同行のお願いについて。

特に役員への報告などになると、一人でこそっと行ってしまう上司が一定数おられるように思うのですが、その案件の担当者くらいは連れて行っていただけると大変有難いです。単独ではアクセスしにくい役員さんにも、同行すれば顔を覚えていただけるかもしれませんし、それがいずれ何かにつながるかもしれません。さらに重要なのは、役員さんの考え(方)を間近に聞けることが、その後の報告資料作成でも、案件の対応方針でも、新企画の通し方でも、様々な場面で役立つに違いないということです。

他部署との打ち合わせについても同様で、担当者一人で飛び込み営業はしょっぱくても上司同士は知り合いだったりすると思います。打ち合わせのついでで構いませんので、担当者の顔を売るのを支援していただければ、次回以降ちょっとしたことを頼んでもらえるようにもなるかもしれません。新規案件獲得につながるかもしれません。

議事録くらいは作りますので、ぜひカバン持ちをさせてください。よろしくお願いします。

部門の目指す理想を明確にしてほしい

法務部門というのは、会社によってカラー、スタンスの差が大きい部門の一つではないかと思っています。大きい法務か小さい法務か。ビジネス支援か管理統制か。経営陣に寄り添うのか現場に寄り添うのか。そういったスタンスによって重点を置く業務も変わってきますし、例えば法務自ら交渉に出るか出ないかといった細かな差も生じます。

とりうるスタンスの幅が広いというのは、事業部門に価値を認められないと存在できないスタッフ部門の中でも、とりわけ吹けば飛ぶような立場にあって、法務部門が部門として会社にどういう価値を提供できるのか、何を提供すれば会社にとって最善なのかを自問し、有用性を証明し続けないといけないことの裏返しであるように思えます。そうであるならば、法務部門の上に立つ人(課長なのか部長なのか役員なのか)は、広汎な業務範囲の中で悩むメンバーをまとめ、目指すべきビジョンを示し、採用するスタンスを決定することで、会社(≒他部門)に対して法務部門の価値を明らかにしてゆかなければならないのではないかと思われるところです。

この検討を怠ると、いざスタンスが問題になる場面で指示が場当たり的になり、部下の混乱を招きます。部下は上司の提示するビジョンを忖度して業務を遂行しようとしますが、それもうまくゆかなくなるでしょう。極端ですが、最終的には「何をやってくれるのか分からない」部署として事業部門に不信を抱かせることになるかもしれません。

とりうるスタンスの差が大きいからこそ、「こういう法務を目指す」という北極星を、メンバーの上に輝かせていただきたいのです。それもなしに「何がやりたい?」とか言ってボトムアップに期待したり、強化とか向上とかうたって方向性の分からない闇雲なレベルアップを図ろうとするのは、ちょっと無理があるように感じてしまうのです。

また、もう少し地に足のついた(?)要望をすると、上司による明確なビジョンの提示は、明確な評価につながると思っています。売上目標のように定量的・絶対的なゴールがなく、自分の業務遂行レベルが高いのか低いのかも(少なくとも社内にいる限り)良く分からない法務部門にあっては、「理想の部門像」と現状の差分を測ることでしか課題認識ができず、個人目標も立てにくいように感じます。ビジョンが提示されていれば、どういうことをやると評価されるのか、自分のやっていることは何が足りないのかが(自分がその法務部門にい続けたいかそうでないかも含めて)検討しやすくなり、かつ上司にとっても評価がしやすくなるはずです。

評価基準・評価理由が不明確というのは、部下としては非常に不幸な気持ちになることの一つなので、ビジョンの提示によって、その点が少しでもクリアになるといいなと思っています。

その他

  • 部下が困っているときに自分は担当じゃないとか言って逃げたりせず、責任をとってほしい
  • 部下が対応方針に悩んでいるとき、「うまいことやっといて」などと言わずに最終判断をしてほしい

法務に限らず、困った上司あるあるとしてよく出てくる話だと思います。

  • モチベーションを下げることを言わないでほしい

これも法務に限らないかもしれませんが、下っ端の仕事は、失敗してもリスクの低い、相対的に重要度の低い仕事が多いと思います。当然です。当然ですが、あまりそれを強調しないでいただけると有難いです。特に法務では、うまくやったからといってすごく感謝される仕事も多くないので、あんまり「くだらない仕事をしている」と認識させられると、自分の存在意義についてちょっと悩んでしまいます。

また、似たような話ですが、色んなところ(例:監査部門)からの要請で行わざるを得ない部類の仕事について、露骨に「こんなことをやっても無駄」とか「面倒」とか言わないでほしいです。

  • (特に勉強面について)各人に自主的に努力させる、各人のモチベーションを上げることを主眼に置いた支援をしてほしい

やる気のある部下フレンドリーな上司の方には大変申し訳ないのですが、できればチーム内の勉強会には管理職(ないし上の方の人)は参加せず、下の自主性に任せていただけると有難いです。というのは、勉強会に上司が参加すると、経験上、萎縮効果からだいたい形骸化する気がするからです。参加するのではなくて、勉強会のための業務時間調整を助けてくれるとか、勉強会したと報告が来たら褒めてくれるとか質問に答えてくれるとか勉強内容を活かせる業務を与えてくれるとか、資格を取ったら一杯奢ってくれるとか(?)、そういう支援の方が有難いなと思っています。

しかし一方で、文学部卒で人事部志望だったのに法務部に配属されてしまって落ち込んでいる新入社員に、勉強のできる上司が、自分のお気に入りの内田民法3冊を与えるだけ与えて「自主性に任せて」いるのを見ると可哀想になります。確かに基礎からきちんと学ぶために基本書を(内田民法が適切かどうかは脇に置くとして)読むのが大切だというのは分かりますし、読むかどうかは本人次第というのも分かるのですが、そこまでのモチベーションがない部下は置いてきぼり、というのは、ちょっと冷たいような気がします。勉強する雰囲気にうまく巻き込んでいく方法を部門として考えていけないものでしょうか。(上司ではありませんが先輩として試行錯誤しているので、書けるような発見と書く機会が揃えばいつかどこかでまとめたいです)

おわりに

書いている最中、何度も「甘えすぎでは......」という声が聞こえました。大変申し訳ありません。この場でしか言いませんのでどうかご容赦ください。

それに、自社法務の業務の全体も知らないのに偉そうなことを言い、自分のこともできないのに上司に要求だけするのはだいぶ恥ずかしい部下だなとも思いました......。深く反省し、今後はきちんと与えられた業務で成果を出せるよう努力する所存でございます。引き続きご指導、ご鞭撻のほど何卒よろしくお願い申し上げます。

 

さて、 明日は敬愛するタフ姉さん、@miraisaaanです!